楽天SCHDは、米国の高配当株式を中心に投資するETF(上場投資信託)である「SCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF)」に連動する日本の投資信託です。高配当株に投資することで、安定的な収益を目指す商品ですが、投資する際にはいくつかの注意点があります。本記事では、楽天SCHDに投資を検討する上での主なリスクや留意すべきポイントについて解説します。
1. 為替リスクがある
楽天SCHDは、米国のETFであるSCHDに連動しているため、投資先は米ドル建ての資産となります。そのため、為替レートの変動が投資のパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。円高の場合、米国株が値上がりしても、円に換算した際の利益が減少する可能性があります。反対に円安の場合は為替差益が期待できますが、為替相場を予測することは難しいため、このリスクは常に念頭に置く必要があります。
2. 株価変動リスク
楽天SCHDは主に米国の大型企業の株式に投資していますが、これらの企業も市場環境によって株価が上下するリスクがあります。特に米国市場全体が不安定になる場合や、特定のセクターに集中している場合は、その影響を強く受けることがあります。高配当株は比較的安定している傾向がありますが、それでも短期的な市場の変動を避けることはできません。
3. 配当金の税制
楽天SCHDの魅力の一つは、高配当株に投資することで定期的な配当を得られる点ですが、配当金には税制の影響を考慮する必要があります。米国株式に投資する場合、配当金に対しては米国で源泉徴収が行われ、日本でも課税対象となります。日本の投資信託を通じて投資する楽天SCHDの場合、二重課税の調整はありますが、手取りの配当金は減少する可能性があるため、税負担についても事前に理解しておくことが重要です。
4. 信託報酬(コスト)に注意
楽天SCHDには、ETFであるSCHD自体の経費率と、日本の投資信託としての信託報酬がかかります。具体的には、SCHDの経費率は0.06%と非常に低いですが、楽天SCHDの信託報酬はこれに加えて約0.1%程度が発生します。これは他の投資信託と比べても低い水準ではありますが、長期投資においてはコストが積み重なるため、なるべくコストの低い商品を選ぶことが重要です。
5. 高配当=安定とは限らない
高配当株への投資は、安定した収益を期待する投資家にとって魅力的ですが、配当利回りが高いことが必ずしもその企業の健全性を示すものではありません。むしろ、配当利回りが高すぎる場合は、株価が大きく下落している可能性もあります。楽天SCHDが投資する企業の財務状況や将来の成長性にも注意を払い、単に高配当という理由だけで飛びつかないようにすることが肝心です。
6. 投資対象の分散に限界がある
楽天SCHDは、米国の高配当株式を中心としたETFに連動していますが、セクターや地域の分散が限られています。具体的には、米国市場に大きく依存しているため、米国経済が悪化した場合のリスクが高まります。また、配当重視のポートフォリオ構成であるため、成長株など他の投資スタイルに比べてリターンが低くなる可能性があります。ポートフォリオ全体のバランスを考慮し、他の資産クラスや地域への分散投資も検討することが推奨されます。
7. 長期投資を前提にする必要がある
楽天SCHDは安定した配当収入を得ることを目的とした投資信託であり、短期的な値上がり益を狙う商品ではありません。株式市場の変動や為替リスクを考慮すると、短期的には損失が発生する可能性もあります。そのため、長期的な視点で投資を行い、時間をかけて利益を積み上げていくことが重要です。急激な市場変動に対して焦って売却するのではなく、冷静な判断が求められます。
まとめ
楽天SCHDは、高配当を享受しながら安定的な資産形成を目指す投資家にとって魅力的な選択肢となり得ます。しかし、為替リスクや株価変動リスク、税制面での注意点など、さまざまなリスクが存在します。これらを理解した上で、長期的な資産運用計画を立てることが成功の鍵となります。分散投資やコスト意識を持ちながら、賢明な投資判断を行うことが大切です。
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