概要
2024年6月24日、米半導体大手エヌビディアの株価が大幅に下落し、調整局面に入りました。この株価下落により、エヌビディアの時価総額は歴史的な規模で消失しました。以下では、この株価下落の詳細とその影響について分析します。
株価下落の詳細
エヌビディアの株価は24日の取引で6.7%安となり、3営業日連続で下落しました。この3日間で、エヌビディアの時価総額は約4300億ドル(約68兆6300億円)が消失しました。この消失額は、ブルームバーグの集計によると1企業の3日間の消失額としては過去最大です。下のグラフはエヌビディアの株価と時価総額の推移を示しています。
半導体業界全体への影響
エヌビディアの株価下落は半導体業界全体に影響を及ぼしました。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は24日に3%下げ、主要な半導体企業の株価も軒並み下落しました。ブロードコムが4%安、クアルコムが5.5%安、アーム・ホールディングスが5.8%安、台湾積体電路製造(TSMC)の米国預託証券(ADR)は3.5%安となりました。
時価総額の変動
エヌビディアの時価総額は3兆ドルの大台を割り込み、マイクロソフトやアップルを下回りました。先週には一時的に世界首位に浮上していたエヌビディアですが、今回の急落でその座を失いました。
投資家の懸念
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ネビル・ジャベリ氏は「短期的には、投資家が人工知能(AI)疲れに見舞われ始めたり、上昇銘柄が一部に集中し過ぎていることへの懸念を強めたりする可能性がある」と述べました。
エヌビディア株は年初来で約140%上昇しており、値上がり率はS&P500種株価指数の構成銘柄で2位となっています。1位は同じくAI関連銘柄として人気が高いスーパー・マイクロ・コンピューターです。
バリュエーションの懸念
AI関連のデータ処理に使われるエヌビディア製チップへの需要が非常に高く、投資家は同社株に殺到しています。しかし、急激な株価上昇はバリュエーションに対する懸念を引き起こしています。向こう1年の売上高見通しに基づく株価売上高倍率(PSR)は21倍となり、S&P500種株価指数構成銘柄で最も割高となっています。
ウォール街の評価
ウォール街ではエヌビディア株が引き続き大いに選好されています。ブルームバーグが追跡するアナリストの90%近くが買いを推奨し、アナリストの目標株価は平均で現行水準から約12%上昇を示しています。カタリスト・ファンズのポートフォリオマネジャー、チャーリー・アシュリー氏は「エヌビディアおよびAI銘柄全般のモメンタムは圧倒的だ」と述べ、「投資について言えば、現時点で逆張りになるつもりはない」と語りました。
結論
エヌビディアの株価急落は短期的には痛手となるものの、AI関連銘柄の需要は依然として高く、長期的な成長が期待されています。投資家は引き続きエヌビディア株に注目しており、今後の動向に注視する必要があります。
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